2023年5月7日、RESOBOX East Village(レゾボックス イーストビレッジ店)で、NYで活動する日本人作家や、日本にまつわる作品を手掛ける外国人アーティストによるアクセサリーや雑貨などのブースがずらりと並ぶイベント「Mother’s Day Japanese Craft Show & Workshops」を開催します。本展は、イベント会社「NYK Marketing」が企画し、2018年にスタート。半日で400人以上を動員する人気イベントの一環です。
「どんな作家さんが活躍しているの?」「人気の秘密は?」「出店してみたい」…など、弊社のホームページにもさまざまな質問が寄せられます。
今回は、アラビア語や日本語などの文字をデザインした「文字絵ジュエリー」のブランド「satokomatsu」を展開する作家、小松聡子さんにインタビューをしました。アクセサリーを通して「人と人とを繋げたい」という小松さんの思いと作品の魅力に迫ります。
Q/言葉をモチーフにした、ユニークでシンプルなジュエリーが魅力的ですね
イメージを手描きでスケッチしてデザインを固め、真鍮かシルバーの金属の板を糸鋸で切り抜き、ゴールドメッキを纏わせて仕上げるアクセサリーを作っています。モチーフは「言葉」がメイン。身に着けて出掛けることで、「素敵なネックレスだね。そのモチーフって?…」「実は私が身に着けてるこれはね…」など、人と人を繋ぐコミュニケーションツールになれば…という思いを込めています。
私にとって制作は「言葉と同様に、ジュエリーも人と人を繋ぐ架け橋になれるのでは?」という、挑戦の一環。私も作品を通して多くの人と繋れたら嬉しいです。
Q/文字で動物や植物を表現したり、平仮名や英語に加え、アラビア語をモチーフにしたりしているところがユニークです
文字を組み合わせて形を作る行為は、江戸時代からの遊びとして行われていました。例えば「ひつじ」という平仮名を組み合わせたイラストを見たことがある人も多いかと思います。アラビア語は、外国語大に通っていた大学時代に、副専攻語として学んだのが最初の出合いです。「文字が装飾みたいで可愛い」と思い、優雅な曲線美にも惹かれました。 日本ではあまり一般的ではありませんが、イスラム教の聖典「クルアーン」の言語としても有名。国際連合の6つの公用語の1つで、世界で3番目に話されている言語です。
私自身、父が英語、母が書道の教師という、文字に囲まれた環境で育ち、幼い頃から文字や外国の言葉、海外に興味がありました。これまでに英語、イタリア語、アラビア語、ヘブライ語、チベット語、ドイツ語を学ぶ、語学好きです。それが今現在、文字をデザインする作風に繋がっています。
Q/NYK Marketingが主催してNYで開催されるポップアップショップをはじめ、日米の通販サイト「etsy」「creema」「minne」などでも作品が販売されています。特に人気の商品などはありますか?
アメリカやヨーロッパからのオーダーが多い「etsy」で人気なのは「ラクダ」や「桜」のモチーフのアクセサリーです。また、プレゼントの言葉をアクセサリーに込め、サプライズの演出に使う方もおられます。また、「推し」の名前をモチーフにしたオーダーも最近は増えていますね。
日本人からはアラビア語のネームネックレスが人気です。英語のようにパッと見て名前だと分からないため、お守りのような存在として身に着けたい方やプレゼントとして人気。これまでに100件を超えるオーダーをいただいています。全てがオーダーメイドで、文字の配置や大きさをバランスを考えながら心を込めてデザインしています。
Q/NYでジュエリー作家として活動することになった経緯を教えていただけますか?
話せば長くなるのですが、大学1年の時にイタリアへ行き、誰が見ても綺麗で普遍的なジュエリーの魅力に惹かれました。その後、大学に通いながら専門学校でデザインも学び始め、3年生の時に休学してイタリアへ留学。ジュエリースクールでデザインと制作を勉強しました。大学卒業後は、日本の企業にジュエリーデザイナーとして就職。デパートの売り場に、自分の作品が並んだり、国外のジュエリーフェアに参加したり…、やり甲斐があり、充実した日々を過ごしました。しかし、離婚を機に「自由になった今しかない」と思い立ち、7年以上勤めた会社を退職。これまでの経験も活かしながらジュエリーデザインの学びを深めるため、各地からトップを目指す人が集まるNYに渡りました。ビザの関係もあり、1年で帰国したのですが、現地で今の夫との出会いがあり、フィアンセビザを取得して移住。現在に至ります。
Q/イタリアやアメリカ、日本と様々な場所でジュエリーを学ばれています。国によって好まれるデザインなどに違いはありますか?
日本では、企業に勤めていたこともあり、正確さと大衆に好まれるデザインが重宝されました。また、人とある程度一緒だと安心する傾向にある日本の風潮もデザインに反映していたように感じます。一方、ヨーロッパは自然からインスピレーションを得た、イメージ重視なデザインが特徴です。アメリカは人種のサラダボウルと言われるほど様々なタイプの人が集うため、カテゴライズは難しいですね。人種や文化によって、人々に個性があるのと同様に、ジュエリーの違いを楽しむのも面白いです。
Q/「Japanese Artist Pop-up Shop 」との出合いは? また、リアルショップの利点があれば教えてください。
ニューヨークに移住した際に、自分の作品を出展する場所を探していた時に見つけて客として行ってみました。そこで、責任者の方とお話しして意気投合し、出展できることになりました。
リアルショップの利点は、自分の作品を通していろいろな方と話ができたり、知り合いになれたりすることです。例えば、私の代表作の一つに平仮名の「い」と「ぬ」で、犬の形をデザインしたアクセサリーがあります。「実は日本語で犬って書いてあるんですよ」と話しかけることで会話が弾み、情報交換ができたり、個人的な話に発展したりします。国や人種を超えて、アクセサリーがコミュニケーションツールの一つになる瞬間を体感し、やり甲斐と幸せを感じます。また、リアルな反応から着想を得て、新作を作ることも多いです。
Q/今後の展望を聞かせてください
今後も、人と人とを繋ぐ「言葉」をモチーフにしたアクセサリーを作り続けます。大量生産というスタイルではなく、自分の手の届く範囲で丁寧に手作りし、人や国を繋ぐ架け橋のような存在になれたら嬉しいです。NYでは平仮名のデザインや小さめのモチーフのリクエストもいただいているので、自分の作風を大切にしつつ、新しい挑戦もしながら進化していきたいです。
【インフォメーション】
⚫︎小松さんは、7月22、23日に東京ビッグサイトで開催されるCreema主催の「Handmade in Japan Fes」にも出展されます。日本で直に会ってオーダーできるチャンスですのでお見逃しなく
⚫︎作家やイベントの詳しい情報は公式サイトからご覧いただけます
※「NYK Marketing」では、世界に向けて作家の作品を販売するオンラインショップをオープン予定です。ご興味のある方はお問い合わせください