2019年1月11日から2月23日まで、RESOBOX Chelsea(レゾボックス チェルシー店)で、日本茶インストラクターのブレケル・オスカルさんが厳選した急須の展覧会を開催しました。
オスカルさんは、高校時代に日本茶に魅了され、日本茶専門家を志してスウェーデンから日本に移り住まれました。その後、日本茶インストラクターの資格を取得し、日本茶の伝道師として、東京を拠点に国内外で講座やセミナーを開催。テレビやラジオに出演したり、本を出版したりするなど、幅広く活躍されています。最近ではNHK総合テレビに日本茶の講師として出演。煎茶をはじめ、地方番茶や玉露など、さまざまな日本茶について、淹れるコツや楽しみ方を分かりやすく解説されています。
作陶家・ 磯部輝之さんの常滑焼による逸品
本展は、そんなオスカルさんのプロデュースで開催。彼が惚れ込んだ、常滑焼きの名工・磯部輝之さんの急須10点を展示販売しました。
磯部さんはさまざまな作風を持ち合わせるベテラン作家です。写真を見て頂くと分かるように、作品は幅広で、底が平たいのが特徴。日本茶をよりおいしく淹れるためにと研究され、高度な技術があってこそ成形できる形なのだそうです。
湯が空気に触れる面積が広いため、湯温を適度に下げやすいのもポイント。苦みや渋みを抽出し過ぎず、甘みが生きた一杯を淹れることができます。また、お茶を愛する人柄から「蓋がピタッと密着する」「薄くて軽い」など、使い心地も追求されており、さまざまな心遣いが随所に散りばめられています。
約500個! 美しい印花文様 手作業で表現
美しいフォルムや柄も注目。磯部さんの代表作の一つである「印花(いんか)文様」が描かれた急須は、美しく並ぶ花が、見る人を圧倒します。これはオリジナルの判子を一つ一つ手作業で押して表現されるのだそう。作品によっては500個もの印花が施されています。
「使う人のくつろぎのひと時をお手伝いしたい」という磯部さんの思いが込められた急須たち。「一度使うと手放せない」と、国内外に熱烈なファンが多くいらっしゃる理由が随所に見受けられます。
急須と初対面 ニューヨーカーの好奇心くすぐる美しさ
オスカルさんご自身も2014年に初めて触れた時「美しさはもちろんのこと、日本茶の豊かな風味を引き出し、美味しく淹れることができる道具として完成されており、感激しました。磯部さんの手で生み出された全ての急須は、ティータイムを特別な時間にしてくれるんです」とお話しされています。さて、そんなオスカルさんの思いが詰まった本展。ニューヨーカーはどう感じるのでしょうか?
実は彼らにとって急須という道具は未知のもの。日本茶は少しずつ広まっているものの、急須を使う文化がないため、初めて見るという方がほとんどでした。
「蓋を開けて茶葉を淹れて湯を注ぎ、この長い棒の部分を持ってカップに注ぐ」と説明すると、すぐに理解はしてもらえました。皆さん、初めて出合う新鮮な道具を興味深く鑑賞し、好奇心をくすぐられている様子でした。また、職人技が織りなす美しい形や柄に感激する心は万国共通。繊細な文様に魅了される方が多数おられました。
RESOBOXはギャラリー、イベントスペース、カフェ、文化教室を運営し、多国籍の人が暮らすNYから、日本文化を世界に向けて発信しています。また、これらの事業で培った人脈を活かし、幅広い企業を対象に海外進出支援サービスを提供しております。初期段階で生じる疑問などにも丁寧に対応させていただきます。まずは気軽にお問い合わせください。