2019年9月11日から10月30日まで、RESOBOX LIC(レゾボックス ロングアイランドシティ店)で日本の縁起物をテーマにした「ENGIMONO展」を開催しています。本展は、福岡市の店舗で郷土玩具や民芸品、約1000点を展示販売する「山響屋」の店主・瀬川信太郎さんによる企画。日本各地に伝わる縁起物の中でも「達磨」にスポットを当て、個性豊かな300体をNYで披露しています。
ここでは、注目の6点をご紹介。
①博多張子の「男だるま」(福岡)
「博多どんたく」のにわか面などで親しまれる、福岡県指定の伝統工芸品「博多張子」の技法で作られた達磨。中でも瀬川さんが福岡に店を構えた当初から工房に何度も足を運ぶなどして交友を深めた作家・三浦隆さんが手掛けた作品は、思い入れの強い逸品です。
②「松川だるま」(宮城)
1830〜44年頃に、伊達藩の藩士によって作られ始めたといわれています。顔の周りを群青と金粉で縁取り、胴には宝船や福の神の浮き出しが色鮮やかに施されています。大きな目で無病息災、家内安全、四方八方を見守ります。重量感のある底の重しは不撓不屈を表し、祈願成就へと導いてくれます。本展では、宮城県の工房でしか販売されていない1尺5寸の宝船逹磨がお目見え。作家さんが「NYでの目玉が必要でしょう!」と特別に作り送ってくださったものです。
③「宇土姫だるま」(熊本)
熊本県宇土市発祥の縁起物「宇土姫だるま」は、江戸時代後期に、尾道(現在の広島県尾道市)の旅人が、道中で病に倒れた際、看護のお礼に宇土市の方に人形作りの技法を伝授したことが始まりといわれています。その後、明治期に坂本カツさんが自分なりの技法を加えながら70年の歳月を掛けて「宇土張子」を確立。一度は廃れてしまったものの、数年前に復活いたしました。「山響屋」さんとの繋がりは、熊本地震の前日に宇土市のショッピングモールで開催された「宇土職人展」にて。職人さんはご無事で「未だに不思議な出会いでしたね」とお話しをしたりされているのだそうです。
④「三春だるま」(福島)
福島県三春町で作られている「三春だるま」は、江戸時代初期の三春藩主が、農閑期の副業奨励のため、江戸から人形師を招き、制作の技法を農民に習得させたことが始まりと伝えられています。写真は「三春だるま」の一種である「古代だるま」。瀬川さんは「茶色の顔色で法衣を着ているため、まるで逹磨大師を表現しているみたい。世間一般の人が見たらこれが逹磨?と思うのでは?」とインパクトの強さを語られています。
⑤「玉島だるま」(岡山)
岡山県の玉島地区で達磨作りが始まったのは戦後。当時、だるまといえば高崎市の高崎だるまが全国的に有名でしたが、戦後の復興の最中、怖い顔にもかかわらず、親しみのある表情が「玉島の縁起物になるのでは」と、制作が始まったといわれています。「太い眉毛に立派なヒゲが描かれていますが、どことなくユーモラスな表情。願掛けすると、願いを叶えるまで優しく見守ってくれそう」と瀬川さんはコメントされています。
⑥「三原だるま」(広島)
広島県三原市で作られている「三原だるま」は、江戸時代末期から制作されていたといわれています。「願いが成るように」と鳴り物の鈴や小石を入れ、頭が細長く豆絞りの鉢巻きをしているのが特徴です。後継者不足から一時、廃れたましたが、保存会の尽力により復活した逸品です。
瀬川さんは2015年に福岡市で「山響屋」を開店。店で扱う全ての作品の産地に足を運び、作家の思いや商品の由来もお客さんに伝えられています。年間約30の出張イベントや個展を各地で開催されてきましたが、海外での個展は今回が初! NYでの本展を通じ、より多くの人に達磨や郷土玩具の奥深い魅力が伝われば幸いです。
瀬川さんの歴史や郷土玩具への思いを語っていただいたインタビュー記事は、弊社のオウンドメディア「RESOBOX Method」に掲載しておりますので是非ご覧ください。
RESOBOXでは、日本文化を世界に向けて発信しています。「こんな伝統文化を披露したい」「イベントを開催してみたい」など、ご要望のメールもお待ちしています。また、幅広い企業さまにニューヨークを拠点とした海外進出支援サービスも提供しています。米国展開初期段階での現地マーケティングリサーチなど、現状に応じたプランをご提案いたします。詳しくは気軽にお問い合わせください。