2021年12月3日にNYCで開幕した着物の展示会「WAMODERN」を皮切りに、「きものアルチザン京都」様のNY進出をサポートする新規プロジェクトが始動しました。
本プロジェクトは、着物職人が所属する10社からなる「きものアルチザン京都」の本格的な米国進出を目指すもの。最初の目標は、NYCのデザイナーとコラボレーションし、新たなプロダクトを制作することです。弊社はアーティストとのマッチング、マーケティングリサーチなどを含む総合的なサポートを担当いたします。
伝統文化を継承する若手が集結 「きものアルチザン京都」
特定非営利活動法人「きものアルチザン京都」は、京都の和装染織技術の継承と発展をモットーに掲げ、所属する職人(アルチザン)が共同。着物産業の次代の担い手として、世界にきもの文化を発信するため、活動されています。
参画しているのは下記の10社です。
- 浅見(きものの裏地が専門。特に長襦袢はデザイン、生地、染色において定評です)
- 工芸染匠 成謙(京友禅の染匠。江戸時代末期から伝わる伝統染色技術 「糸目友禅」を主体に古典文様からモダンなものまで、現代に合わせたもの作りをされています)
- 紫紘(西陣で帯の製造をされています。図案制作から織物設計、製織まで一貫して行われています)
- 松寿苑(染織工芸など、美意識への探求をテーマに洗練された着物を製作されています)
- 多ち花(京友禅の技法の一種で型紙を用いて染め上げる摺型友禅で「染めのきものプロダクト」を作っているメーカーです)
- 藤井絞(京鹿の子絞のメーカー。オリジナルにこだわり、オンリーワンの商品を生産されています)
- 藤工房(和裁一筋100年以上。伝統の技術を継承しながら、新たな着物のかたちを追求されています)
- 村山刺繍(刺繍だけにとどまらず、デザインや染めをはじめ、生地から着物まで作られています)
- 室町京正(永く人の心に残る本物の京友禅を目指し、友禅を作り続けられています)
- 和小物さくら(帯揚、帯締、草履、バッグなどを中心に、和装小物を幅広く手がけられています)
染色、友禅、和裁、刺繍…、様々な分野のエキスパートが集い、伝統を大切にしながらも、これまでのカタチに固執せず、現代に響く新たな作品や商品の創造にも果敢に取り組まれています。
今回の米国進出は、2016年2月に開催された「ニューヨークファッション・ウィーク」で、デザイナー浅井広海さんとコラボレーションして発表し、好評を得たことがきっかけです。コロナ禍で海外へ向けての活動が一時的に制限されていましたが、今回、満を持しての挑戦となります。
職人の手仕事にニューヨーカーも感激 展示会「WAMODERN」
展示会「WAMODERN」は、12月3〜19日まで、ブルックリンにある「J-COLLABO」で開催。会場には反物5点、着物2点、バッグやアクセサリーなどの関連小物が並びました。職人が丹精込めて手掛けた西陣織や京友禅、染織工芸、刺繍などが施された展示品の数々に、訪れたニューヨーカーたちは「なんて美しいんだろう」「見る角度によって表情が変わる生地に心奪われた」と、目を輝かせながら見入っていました。
また、展示室の一角には「きものアルチザン京都」と空気清浄機「カムフォールド」のコラボレーション商品も。空気清浄機の表面に設置するパネルが、金銀糸で波を表現した柄や日本の伝統文様などで彩られています。部屋の雰囲気に合わせて交換することができ、インテリア感覚で楽しめます。電化製品と着物がコラボレーションした斬新なアイテムは、本プロジェクトのアイデア創出に繋がるかもしれません。
NYC在住の新進気鋭アーティストを招待
さて、冒頭にも書いた通り、今回のプロジェクトのメインはNYで活躍するデザイナーとのマッチングです。12月5日に同会場で開催したオープニングパーティーに、NYCで活躍する新進気鋭のファッション、テキスタイル、マルチメディアアーティストを厳選してお招きし、生地や着物、小物などを実際に触っていただきながら、コラボレーションの可能性を探っていきました。
アーティストは、多様な文化を混ぜ合わせテキスタイルやファッションで表現するアートを製作されているMelody Hesarakyさんや、ファッションブランド「PleinSol」を経営するAndy Kimさん。米国、欧州、中国など100を越える展示会に参加し、数十を越えるメディアに特集が組まれるなど注目を浴びているKatie Cerconeさん、Vogue Italiaをはじめ無数のファッション・アート雑誌で作品がフューチャーされているファッションデザイナーAmalya Meiraさんら10数名。この中から最終的に数名の方とコラボ作品を作っていく予定です。
特に注目されたのは、ペットボトルを再生して作った糸で紡いだ生地や、レザーに「絞り」の技術を施した生地。それぞれの作品の制作過程や魅力などのポイントを、今回のために渡米された「きものアルチザン京都」ディレクターの石崎功さんと、弊社のマーケティングチームで丁寧に説明。実際に商品や生地にしっかりと触れていただき、様々な意見やアイデア、可能性を収集いたしました。
石崎功さんは、呉服業界プロデューサー・マーケティングディレクターとして知られ、「和の文様辞典 〜きもの模様の歴史〜 」を編集・出版されている伝統模様の研究家でもあります。
本展示会でアーティストや訪問者から得た意見を考察し作成したプロトタイプは2022年3月に発表予定です。