2023年2月26日、RESOBOX East Village(レゾボックス イーストビレッジ店)で、NYで活動する日本人作家や、日本にまつわる作品を手掛ける外国人アーティストによるアクセサリーや雑貨などのブースがずらりと並ぶイベント「 Japanese Artist Pop-up Shop 11」を開催します。本展は、作家と消費者を繋ぐ場、そして作家同士が交流する場を作ろうと、イベント会社「NYK Marketing」が企画し、2018年から弊社RESOBOXのスペースで定期的に開催。今回で11回目となります。半日で400人以上が来場するなど、回を重ねるごとに人気が広まり、リピーターも増加。イベントを運営するNYK Marketingの代表・伊藤容子さんは、日本の通信販売大手「フェリシモ」の会報誌でも紹介されました。
「どんな作家さんが活躍しているの?」「人気の秘密は?」「出店してみたい」…など、弊社のホームページにもさまざまな質問が寄せられます。今回は、そんなリクエストに応え、2019年からイベントに出店されているアクセサリー作家・竹下ちひろさんにインタビューしました。
竹下さんは、毎日を楽しくするジュエリーをモットーにブランド「pucci ropa jewelry」を立ち上げ、指輪やピアスなどを制作されています。
Q/個性が光る、大きめのシルバーアクセサリーが魅力的ですね。まずは竹下さんの作品の特徴や、ブランド名「pucci ropa jewelry」に込めた思いから教えてください。
スターリングシルバーや真鍮を使ったアクセサリーを中心に制作しています。
私自身の好みが「削り落とした美しさ」より、「独自の個性を加えたデザイン」。ニューヨーカーが好むデザインも、存在感のある大きめなアクセサリーなので、そこにフォーカスした作品が中心です。
ブランド名の「pucci ropa jewelry」は、小柄な私の愛称であり、小さいという意味の”Pucci “という言葉と、スペイン語で服を意味する”Ropa “を組み合わせました。NYに来て以来、メキシコ人のハッピーなオーラにパワーをもらうことが多く、ブランド名にこの言葉を使うことにしました。
Q/NYでアクセサリー作家として活動することになった経緯は?
最初にNYで暮らしはじめたのは2010年。当時、東京でヒップホップダンサーとして、イベントやクラブ、フィットネススタジオを中心に活動していたのですが、「ダンスの聖地であるNYで本格的に学びたい」という強い憧れを抱き、思い切って渡米しました。NYに来てからは、語学を学びながらダンスカンパニーに所属し、現地の子どもたちにダンスを教える機会にも恵まれました。そんな日々の中で「本気で挑む人たちが集う、エネルギッシュな街のムード」にどんどん惹かれていきました。
その後、やむを得ない理由で帰国。しかし、荷物を取りにNYに行った時、「アートスクールに留学してみては?」と友人から勧められ、「NYに戻れるならば」と2015年に再度NYに戻ってきました。
NYに在住するために入学を決めた学校でしたが、ひょんなことから、ここでジュエリー作りを学ぶことになりました。素晴らしい先生との出会いもあり、徐々にのめり込み、2017年からは興味はあったものの、初期費用が掛かるため躊躇していたメタルジュエリー作りをスタート。全力で取り組み始めました。作品をさまざまなシーンで披露すると、知人に頼まれてオーダーメイドで注文を受けるようになり、気付けば作家として注文を受けるようになりました。
Q/「Japanese Artist Pop-up Shop 」との出会いは? 出店してよかったこと、作家の立場として感じる魅力を教えてください
1回目から作家として参加している友人の紹介で参加することが決まりました。作品の販売に関して、個人でネットショップなどを立ち上げる方法も考えたのですが、私の作品の場合、肌馴染みが良いカーブやフォルムを意識したものが多いため、実際に身に着けてもらった方が魅力を感じていただきやすい特徴があります。ポップアップショップという場に参加できたことで、試着から購入に繋がるケースが増えました。
自ら店頭でお客さんの声を直接聞けるメリットもあります。ニューヨーカーが好むデザインを知れたり、その場でサイズ調整したりしながらコミュニケーションも楽しめます。
また、フラッと立ち寄ってくださった方との出会いや、出店者同士の横の繋がりができたのも嬉しかったです。回数を重ねるごとに、収入を得て稼げる場になっていますし、自分に本格的に活動するきっかけやチャンスを与えてくれたありがたい存在です。
Q/Instagramに作品が掲載されています。個性的で他にないデザインも多く、見ているとワクワクします。作品で表現したいことや、代表的な作品を教えていただけますか?
心に響いた出来事、感情が揺さぶられた瞬間を表現することが多いです。そのため、全ての作品に意味があり、タイトルが付いています。
代表的な作品の一つは「アメーバ」という名前のリング。3Dで凸凹としたデザインを表現したいと思い立ち、色々と調べていた時アメーバにに惹かれたんです。この生物の、常に変化し続ける特性に、「これだ!」と心が弾み、進化や革命、変化という要素を作品にしました。形状が複雑な分、作業が大変なのですが、身に着けてくれる人の「変化や進化を後押しするアイテム」になればと、一点一点丁寧に仕上げています。
また、「WINDING ROAD」という絢香とコブクロがコラボした曲をテーマにしたリングも思い入れの強い逸品。自分自身が励まされた「曲がりくねった道の先に、待っている幾つもの小さな光」という歌詞から着想を得てデザインしています。自分の経験から生まれた作品が、お客さんの背中を押したり、お守りになったり…。日常を楽しむアイテムになってくれたら嬉しいです。
Q/今後の展望について聞かせてください
年齢に関係なく新しいことに挑戦しやすく、また、それを受け入れてくれる環境。日本にいたら周囲の目を気にして選択できなかった未来を歩めているように感じます。
最近のニュースとしては、ヴィンテージの古着屋さんが、私の作品を気に入ってくださり、店舗に常時置いてくださることが決まりました。また、黒人のファッショナブルなお兄さんに「このデザインをゴールドでメンズ用に作れない?」とリクエストしていただいたり…。少しずつですが努力が実り、認められ、自分の活動を広げる環境が整ってきた実感があります。
2023年は、もっとジュエリー作りにフォーカスし、ブランドを少しずつ大きくしていく予定です。通販サイトも検討していますので、NY以外にお住まいの方にも、作品に触れていただけたら嬉しいです。
- 作家やイベントの詳しい情報は公式サイトからご覧いただけます
・「pucci ropa jewelry」の公式Instagram
・「Japanese Artist Pop-up Shop 11」の詳細
※日本で活動されている作家さんで、リモートでの出店にご興味のある方は「NYK Marketing」まで問い合わせください